作業療法
認知症作業療法
作業療法とはリハビリのひとつで、生活障害を対象としています。当院の認知症病棟では、認知症の特性を理解したスタッフが、定期的にお一人お一人の状態を話し合い、その方の「困っていること」や「できるようになりたいこと」「やってみたいこと」等を確認しながら、ゆったりした時間の中で「やり慣れているなじみのやり方・活動」や「好きな活動」「得意な活動」「適切な運動」「安心できる暮らしやすい環境作り」等を通して「認知症とともに、よりよく生きる」お手伝いをさせていただいています。
目的
理念(考え方)
内容
1.日常生活の流れの中で行うプログラム
日常生活活動/日常生活関連活動
1日の生活の流れの中で、普通に行われる身の周りの活動(食事、更衣、排泄、移動、入浴、服薬など)や家事(整理整頓、洗濯・衣類の整理、調理、買い物など)、社会参加(外出、コミュニケーションなど)のことです。できることはご自分でやっていただくように励ましながら、できないこと・やりにくいことに対しては、やりやすい方法を一緒に考えて練習したり、お手伝いしたりしながら、その方の持っている能力に合わせた生活を考えます。
リアリティーオリエンテーション(見当識訓練)
認知症で症状が現れることが多い、時間、場所、人の順に障害される「見当識」の障害を補うための訓練です。当院では「24時間リアリティオリエンテーション」として行っております。
回想法
楽しい思い出の再体験、感情の受容・共感により精神的な安定がもたらされ、うつ感の改善、不安の軽減、人生満足度の向上、自己肯定感の強化をはかることができます。また、記憶中枢へ働きかけ、認知症の進行を遅らせることができるといわれています。当院では場所やメンバーを設定せず、日常の会話や環境調整の中で行う「構造化しない回想法」として行っております。
リアリティオリエンテーション(見当識訓練)用のボードの利用
![]() | 毎日、朝と夕方に「今日の予定」「夜間・明日の予定」として書きかえています。見当識の低下による「今日はいつか?」「今は何をしたらいいのか?」「ここはどこか?」などの不安を軽減するとともに、患者さん同士、患者さんと面会にいらしたご家族やスタッフとのコミュニケーションの手助け(話題づくり)になるような内容を心がけています。 |
① リアリティオリエンテーション
日付、天気、1日の予定、食事のメニュー、担当職員、おふろカレンダー など
② 今日は何の日?
③ 頭の体操
④ お誕生日の方の紹介
3.集団で行うプログラム
皆さんで一緒に行うプログラムです。楽しみながら、身体機能や認知機能の維持・改善をはかる内容になっています。
- 体操・うた・音楽鑑賞
- 健康体操(体ほぐし体操、棒体操、セルフマッサージ)
- 上映会(ベッドでも参加できます)
- 体を動かそう(演歌体操、手の体操、風船バレー、頭の体操)
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4.集団の中で個別に行うプログラム
- 創作(季節の飾り作り、おりがみ、飾り箱作り、編物、簡易織物、ちぎり絵、塗り絵、書道など)
- ボードゲーム(囲碁、将棋、オセロ、かるた 等)
- ゲートボール(屋内で行います)
- ふまねっと運動
歩行機能、バランス機能、認知機能、コミュニケーション能力の維持改善を目的としています。床に広げた大きなネットを踏まないように、決まったステップで歩きます。「1・2・3…」の手拍子や、みなさんで歌う童謡・唱歌にあわせて歩きます。歩くときの真剣な表情、うまく歩けても、失敗しても自然とあふれる笑顔、とても素敵です。 - 服薬指導(薬剤師がおひとりずつお話しさせていただきます)
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5.必要な方に1対1で行うプログラム(個別作業療法)
個別での対応が必要な方に実施させていただきます。
- 日常生活動作/日常生活関連動作訓練
- 役割作り
- 1対1でのコミュニケーション
- 廃用症候群への対応
- その他、必要に応じて
集団作業療法・個別作業療法 1週間の予定
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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午前 | リアリティオリエンテーション(今日の予定 等) | ||||
おやつ準備 | 個別作業療法 | 個別作業療法 動作訓練室開放 | 健康体操 | 個別作業療法 | |
体操 歌、音楽鑑賞 | おやつ準備 | 個別作業療法 | おやつ準備 | ||
午後 | ふまねっと運動 | 創作 ゲートボール他 | 外出 | 服薬指導(第1週) | 体を動かそう |
個別作業療法 | 上映会(第3~5週) | ||||
リアリティオリエンテーション(夜間の予定、明日の予定 等) |
お願い
- ご病気になられる前の生活の様子やご病気になられてからの生活の変化、ご家族が困っていること、当院へのご希望、退院後のご希望などを教えてください。認知症の方は、私達が思っている以上に、環境の変化に大きな不安を感じ、入院時・退院時に混乱したり不安定になったりすることがあります。ご本人にもご家族にも、1日も早く、安心して新たな生活をスタートしていただけるように、また、より効果的な作業療法を行うために、ご家族からの情報は大変貴重なものです。
- 作業療法の場面では、会話が難しくなってきた方でも、一緒に活動することで自然なかかわりをもつことができますし、活き活きとした様子や、笑顔をたくさん見ることができます。お時間がございましたら、お気軽にいつでもおいで下さい。ご一緒に参加していただくこともできます。ぜひ楽しい時間をおすごしください。